2011年9月20日火曜日

山元 加津子さんのメールマガジンより



第777号 宮ぷー こころの架橋ぷろじぇくと
                    2011年9月20日現在 参加者人数4911人
 「9/20 昨日の宮ぷー」
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http://ohanashi-daisuki.com/info/story.html


何年も前のことです。「一度失敗したら、もう、絶対にだめなの? もう取り返しが
つかないの?」しーちゃんが悲しそうに言いました。「そんなことないよ。みんな失
敗を繰り返してできるようになっているんだもの」それでもしーちゃんは首を振りま
した。「昔、私、悪い子だったの。人の物盗っちゃだめってわかっていたけど、つ
い、友達のものや、学校のものを家に持って帰ってしまったの。でも、もうしていな
い。悪いことだってわかったし、自分でがまんできるようになったの。だからそんな
ことはずっとしていない。でも、先生も、お母さんも、私のことは信じてくれてない
の。『おまえは盗みをするから、一人でバスに乗せられない、目を離せない』って言
うの」しーちゃんの悲しみが私の心の中まで入ってきたようでした。しーちゃんの顔
をのぞき込むと、しーちゃんの澄んだ目が不安そうに私を見つめていました。

「人間の素敵なことは、いろんなことに気がついていけることだよ。何が大切で何が
いけないか、どうしたらいいか気がついていけること。そして変わっていけることだ
よ。私ね。こんなふうに思っているの、お互いに教えあったり、大切なことを気がつ
くために、人と人は出会うのじゃないかなって。それから、出来事だってそうだよ。
大切なことに気がついて変わっていくために、人は出来事とも出会う。しーちゃんは
昔つらいことがあってよかったね。そのために、大切なことに気がつけたんだもの。
こんどはしーちゃんが大人の人に教えてあげてほしいの。人は気がついて変わってい
けるんだよってこと。それにもともとしーちゃんはいい子だもの」 私はなんとか
しーちゃんが元気になってほしくて、いろんなことを言いました。それなのに、しー
ちゃんは泣き出してしまいました。

次の日、しーちゃんが手紙をくれました。「かっこちゃん、私のこと、見ていてね。
私、強くなる。自分を好きでいたいから」笑顔のしーちゃんを抱きしめて二人でいっ
ぱい笑いました。
そのしーちゃんが、メールをくれました。

・・・・・
かっこちゃん、昔のこと覚えてる? 私が一度失敗したらもうだめなの?」って聞い
たことがあったでしょう? かっこちゃんが私のためにワンワン泣いて、「そんなこ
とないよ、そんなことないよ。だってしーちゃんはいい子だって、私、知ってる」っ
て私を抱きしめてくれたでしょう?あの日のこと。あの日は私の二度目の誕生日だっ
たんだよ。かっこちゃんが信じてくれる。他の人は信じてくれなくても、かっこちゃ
んが信じてくれる。だから、頑張ろうと思えたんだよ。今ね、仕事をしながら大学に
入ろうと勉強してるよ。もう10歳も下の子どもたちと一緒にやらなくちゃならないけ
ど、私、教員になりたいんだ。教員になれなくても、塾の先生になりたい。今の仕事
も好きです。でもかっこちゃんみたいに、誰も信じてくれなくても、私のことを、信
じて抱きしめてくれる、そんな先生をきっと求めてる子どもたちがいるから、私は
かっこちゃんのようになりたいんだよ。
・・・・・

私が泣き虫で、大好きなしーちゃんを抱きしめただけなのに、そんなふうにしーちゃ
んがメールをくれました。本当に、私なんて何もできないのに、そんなこと言ってく
れて涙がとまりません。しーちゃんありがとう。そして、思いました。宮ぷーが倒れ
て、今意識も戻って回復を続けていることを思ったときに、やっぱり誰か一人でいい
から、心から信じてくれる人がいてくれることが大切なんだなって思ったのです。私
もそうです。しーちゃんがそう言ってくれる。そう思ったら私もまた頑張れる。本当
にうれしいです。

 高校生の信司君からのメールです。
・・・・・
かっこちゃん、もうすぐ文化祭が行われます。地元の特別支援学校の同じ年の高校生
が来てくれることになっています。僕たちの学校は、地元では実は一番の進学校で
す。そのこともあって、先生から、「君たちがこれからのここを作っていく。障害の
ある人のことも考えられるように、どんなふうにしたら、支援学校の生徒さんが楽し
んでくれるか、考えてほしい」と言われました。かっこちゃん、どんなふうに時間を
過ごしたら、お互いが有意義に過ごせるでしょうね。教えていただけたら光栄です。
・・・・・
信司君ありがとうございます。とてもうれしいメールです。昔のクリスマス会のこと
を書いた文章がありました。ここに載せますね。

・・・・・
学校でクリスマス会がありました。午前中はホットケーキを焼いたり、歌を歌った
り、それからお昼からきてくれる近くの高校生の友達に渡すクリスマスカードを作っ
たりしました。その友達は、今日、初めて会うことになっていました。近くの高校の
生徒会の人たちが6人きてくれるのです。洋ちゃんは少し震える字で、一所懸命てい
ねいに、「メリー・クリスマス ようじ」と書いていました。

 給食を食べたあと、高校生の友達がきてくれたので、養護学校の子供たちと高校生
が二人一組のペアになって、ボーリングとトランプをしました。ボーリングはボーリ
ング場でいただいてきた、本物のピンとボールを、小さなスロープの上にのせて、ね
らいをつけて倒します。高校生の友達は、養護学校の子供たちがどうしたら、ボール
をころがせるか、考えたり、子供たちに聞いたり、私たちに聞いたりして、ゲームを
すすめてくれました。一人投げたら、ペアのもう一人・・接戦で、白熱した試合でし
た。

それから、大きなトランプを使って神経衰弱をしました。子供たちも私たちも、そし
て高校生の友達もとても楽しそうでした。また歌を一緒にうたって、養護学校から
は、洋ちゃんがあいさつをしました。「たのしかった。ありがとう。またきてね」と
言いました。高校の会長さんが「最初考えていたのと違って、すごく楽しかったで
す。これからも友達でいましょう」って言ってくれました。きっと会う前には、どん
なふうな時間をすごすのだろう、養護学校の子供たちはどんなふうだろうと思ったの
だと思います。でも出会ったら、きっとほっと安心して、遊んだらきっともっと安心
して、楽しかったのだと思います。それこそが、交流の素敵なところですものね。

 それから、一緒のペアの友達とクリスマスカードの交換をしました。洋ちゃんは友
達にムーミンの絵が描いてあるカードをもらいました。ちゃんと洋ちゃんの名前が書
いてある素敵なカードでした。洋ちゃんも、午前中に作ったカードを渡しました。友
達は、洋ちゃんのカードをありがとうと受け取ってくれて、中をそっとあけました。
洋ちゃんの少しふるえる「メリー・クリスマス ようじ」の字が目に飛び込んできま
した。そのときです。高校生の男の子が、ふいに目から涙をぽろぽろっとこぼしまし
た。恥ずかしそうに、でも洋ちゃんの目をじっとみつめて「ありがとう」と手を握り
ました。

私はそばにいて、やっぱり急にあついものがこみあげてきて、涙がぽっかり浮かんで
きました。私は子供たちと一緒にいて、ときどき、空気中か、心の中か、たくさんた
くさん天使がいて、ときどき、光の棒で、私たちに魔法をかけてくれるのではないか
と思うことがあります。そんなとき、ふいに涙が出てきたり、うれしくてたまらなく
なったり、仲良くなったり、優しい気持ちでいっぱいになったりするのじゃないかと
思うことがあります。今日だってクリスマス会だもの。きっと天使はいるのです。サ
ンタさんがいるように・・
・・・・・
相手を大切に思って一緒に時間をすごすこと。それが、きっと何か素敵なドラマをみ
せてくれるような気がします。だいじょうぶ。だいじょうぶ。

 今日もいっぱいうれしいことがありました。最初に車いすに乗っていて、ひざの上
にドーナッツ型のクッションを置いて、両手をクッションの上において、右手に携帯
を渡して、それを穴の中に落としてという練習をしていました。最初は迷い迷いだっ
たのに、すぐに上手になって、何度も携帯を穴に入れることができました。昨日中指
が動くようになっていたので、携帯が前よりしっかり持てるようになったことと、手
を反転するのが上手になったので、手に携帯を持ちながら反転して、携帯を穴のとこ
ろに持ってきて、入らなかったときは、親指や腕を少し前に出すことで穴に落とせた
のです。

それから、膝の上に新聞を置いて、新聞に「ツール・ド能登」の写真が載っていたの
だけど、手を新聞の上を少しずつだけど移動させて、私が「ヘルメットを指さして」
とか「ツ」の字を指さしてというとそのとおりに、ゆっくりだけど指さすことができ
ました。そして、最後にすごいすごいことがありました。立つ練習をしていたとき
に、「手をあげてみて」と言ったら、宮ぷーが口の形で「無理」と言ったので、「無
理って思ってたらいつまでもできないから、やってみよう」と言ったら、なんとなん
と、ぶらりとさがっていた手があがって、腰の位置も過ぎて、私の胸あたりまで上
がったのです。わあ、わあ、宮ぷー宮ぷーすごいよ、すごいよと、立っている宮ぷー
を支えているのに、わんわん泣きました。本当にすごいです。

宮ぷーも泣いていました。ああ、きっとスプーンを持って、ちゃんと自分でごはんを
食べられるようになります。そのことがはっきりと感じられた嬉しい日でした。

かつこ

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